萌尽狼グ

音系同人サークルASIA LUNAR代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ

秒間フレーム数が教えてくれたチップチューンの未知なる世界

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ASIA LUNAR最終作のモノフォニック・チップチューン・アルバム『禁重音狂奏曲』頒布開始から2週間ほど経過しましたが、お楽しみいただいておりますでしょうか?

1曲目はYMCKのYokemuraさんの曲なのですが、秒間60フレームで作られています。
9月11日のFamily Radio ShowでYokemuraさんがLogicのピアノロール画面を出して、実際に60フレームでどのように打ち込んだのか、解説をご覧になった方もいらっしゃると思います。
ピッチのベンドダウンを使わずに、音階でキックを作っているところなどは私も驚きました。

soundcloud.com

フレームというのはゲーミングPCのベンチマークだったり、映像編集されてる方なら映像の滑らかさや容量に関係する事柄だったりするので、意識されている方も多いのではないかと思うのですが、音楽制作ではMA(映像に音楽や効果音、ナレーションを付ける作業)でもない限りフレームを意識することはないでしょう。
MIDIの分解能を意識することはあっても、それが秒間何フレームなのか、なんてことを考えながら作曲することなどは、まずありません。

ところが、チップチューンではおのずとフレームの制約を受けることになるのです。
なぜかというとゲームは映像ですから、CPUの処理がフレーム単位で行われるからです。

今回Yokemuraさんは秒間60フレームで作りましたが、これは音楽の処理だけにCPUを使えるチップチューンならではのことです。
昔のゲーム機はひとつのCPUで映像も音楽も制御していましたから、奇数フレームで映像を、偶数フレームで音楽を制御した場合、音楽は半分の30フレームになってしまうわけです。

私が実際にゲームボーイの開発現場で言われたのは、ゲームボーイではだいたいBPM90、120、150、165の曲しか作れないということだったのですが、その意味を深く考えることなく今日まで生きてきました。
しかし、よくよく考えてみれば、フレームで割り切れるテンポというのは限られているわけなのです。

チップチューンでフレームを意識することがあるとすれば、まず高速分散和音の速さ(密度)に関係してくるわけですが、Yokemuraさんの曲は最初からフレームとBPMを決めてしまえば、時分割がとてもやりやすくなり、1チャンネルでいろんな音を出しやすくなるというひとつの方向性、ひいてはチップチューンの新たな可能性を示してくれました。

チップチューンで多くの音を出そうとすれば、拡張音源という方向に行きがちですが、ワンチップを時分割することで発音数を何倍にも増やすことができるのです。
私も当初からその方向性で、できる限り多くの音が聞こえるように工夫して打ち込んできたつもりでしたが、Yokemuraさんの曲はまだまだその先に未知の世界があることを教えてくれました。

ぜひみなさんも、1音でこれほど豊かな音楽が表現できるということを、実際に聴いて確かめてみてください。
チップチューンを、また違った角度から楽しめるようになりますよ。

『禁重音狂奏曲』は、あきばお~こくゲーム探偵団Tokyo Future Musicでお求めいただけます。


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