萌尽狼グ

音系同人サークルASIA LUNAR代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ

オタクの心をつかめ(SB新書)


久々のオタク本である。


ガルパン聖地巡礼の帰りに東京駅のBOOK EXPRESS東京北口店で購入しサンライズ出雲の中で読んだ。
SB新書は文字が大きく行間も広めに取られており読みやすかった。


著者の寺尾幸紘氏は2005年TVチャンピオン「アキバ王選手権」優勝者であり、秋葉原の情報サイト「アキバOS」の運営会社、株式会社秋葉原総合研究所の代表取締役社長である。
帯には「豆腐から車まで、オタクが買わないものはない!」というキャッチコピーと、ガルパン萌え米ザクとうふを模したイラストが描かれている。
しかし、メインはザクとうふで、次いで萌え米ガルパンの扱いは数行に過ぎない点に注意したい。


著者はアキバ王を自負しているが、三次元のアイドルに弱く、またゲームにも弱いことが節々に見られる。
特に2章の73ページ「アタリショックファミコンの大ヒット」はゲームの歴史に詳しい人なら見出しを見ただけでモヤモヤしてしまうのではなかろうか?
アメリカのテレビゲーム市場形成について、アタリショックはあったという前提で概略が1ページ半で説明されている。


アタリショックに関してはチップチューンの第一人者hally氏が詳しいので未読の方はぜひ。
http://d.hatena.ne.jp/hally/20040514
ここではアタリショックがなかったわけではなく、実際にはひとことで片付けられるような単純なものではなかった、日本では言葉だけがひとり歩きしていると問題提起している。


2章では海外のオタク文化、オタク市場規模について多くのページを割いて考察されているが、他著の引用が多く空気感が伝わってこない。
例えばガチャガチャという自動販売機は海外にはないと聞く。これだけで日本では当たり前のビジネスが海外では通用しないことが浮き彫りになる。
そういった細かな分析がなく、ただ大まかに市場規模を示す数値だけが羅列されるため、全体的にたどたどしく、読んでいて不安になるのだ。



本書の存在意義はこれに尽きる。3章の122ページ「オタクはエッチなものが大好きだ」である。


私は森川嘉一郎著『趣都の誕生 萌える都市』から岡田斗司夫著『オタクはすでに死んでいる』までオタク本を読むのが趣味だった。

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

いずれも秋葉原とオタクとは一体なんなのか?という「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」的な内容の本である。


萌えとエロは本来不可分であるはずなのに、どういうわけか今までの論調は萌え≠エロであり、どこか不自然に思える部分もあった。
まあ、綾波レイ萌えを公言している森永卓郎氏が萌え=エロを認めてしまうと、世間的に示しがつかないという向きもあるのだろうが…

萌え経済学

萌え経済学


本書は萌え米の二番煎じを失敗例とし、ザクとうふを教訓にオタクビジネスのヒントを伝授しつつも、困ったらぜひ相談してねという下心で締めくくられる。
学者の書いたオタク本ではないので、これはこれで結構なのだが、ちょっと仕事に困ってます感が出すぎな気がして煙たい。
ただ、思考のプロセスとしては同人でも同じことが当てはまるので、読んでみてはいかがだろうか?