ゲームミュージックとジャズの関係について
@papalonia 古いところではスーパーマリオワールドのサントラで渡辺貞夫がアレンジに参加していたり、結構あるのですが…「ジャズ」というキーワードを前面に打ち出したものは少なかったのかもしれませんね。近作では『ピアコンI』がおすすめです。エレベーターアクションがかっこいい!
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) April 10, 2014
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『ピアコンI』は沙羅曼蛇のアレンジが入っているので買ったんだけど、どの曲もアレンジが良くて聴きやすく愛聴盤のひとつとなっている。
ひとことでジャズといってもプレイスタイルはさまざまで、→Pia-no-jaC←とか知ってる人なら受け入れやすいかもしれない。
ファイナルファンタジーIIやオホーツクに消ゆのアレンジは落ち着いていて、かつて日本ファルコムが出した『プレプリマ』を彷彿とさせる。つまり眠くなる。
『ピアコンII』にはファンタジーゾーンや悪魔城ドラキュラが入っているのだけど未聴。
公式:http://www.dogearrecords.com/pia-com/pia-com1
フュージョンをジャズの派生ジャンルとして認識できるか否かで「ゲームミュージックでジャズ」という試みの許容範囲は大く変わってくるわけで、コナミ矩形波倶楽部を例に挙げるまでもなく、ゲームミュージック全盛期はむしろジャズブームだったことになる。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) April 10, 2014
ジャズは、ピアノやギターが電化したり、録音技術が発達したり、他のジャンルの音楽と混ざり合うことでジャンルが細分化していった。
例えば、僕が好きなジョン・マクラフリンは、電化マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』というアルバムで頭角を現したギタリストだ。
彼はマハヴィシュヌ・オーケストラ名義で「ジャズ・ロック」という、後の「フュージョン」につながる、ジャズとロックとクラシックが融合したジャンルの音楽で一世を風靡した。
「ジャズ・ロック」というジャンルは、当時の「ハードロック」や「プログレッシブ・ロック」とも密接なつながりをもっていて、実際僕もマハヴィシュヌ・オーケストラをプログレだと思って聴いていた。
マハヴィシュヌ・オーケストラは何度かメンバーチェンジを繰り返し、演奏するジャンルも現在のフュージョンに変容していった。その間にジョン・マクラフリンは別名義シャクティでインド音楽に傾倒している。
マハヴィシュヌ・オーケストラの音楽性は、コナミ矩形波倶楽部の泉陸奥彦らが手がけた『メタモルフィックフォース』というアクションゲームのサウンドに影響し、僕はそのライナーノーツを読むことでルーツをたどったのだった。
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コナミ矩形波倶楽部の音楽性を、コナミレーベル第1弾アルバム『サンダークロス』のライナーノーツで、山下章は「プログレ」と評している。古川もとあきのフュージョン色が前面に出がちだが、泉陸奥彦や松原健一といったコンポーザーについてフォローしているものと思われ非常に興味深い。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) April 10, 2014
泉陸奥彦はギターフリークスで有名になったが、コナミ入社前からプログレバンドで活躍していた人だ。MSXでスナッチャー、SDスナッチャー、メタルギア2 ソリッド・スネークなどを手がけた。
松原健一はファミコンディスクシステムのドラキュラIIで「血の涙」という名曲を作った人で、シューティングゲームではグラディウスII、トライゴン、クライシスフォースなどを手がけた。
コナミ矩形波倶楽部には悪魔城ドラキュラや出たな!!以降のツインビーシリーズなど、クラシックやオーケストレーションのすばらしい楽曲も多く、プログレのジャンルの成り立ちを考えても、コナミ矩形波倶楽部の音楽性をプログレと定義することは的確であると思う。
しかしながら、ライブなど表立った活動はギターの古川もとあきをリーダーとしたフュージョンバンド「矩形波倶楽部」(注:コナミのサウンドチームを総称するコナミ矩形波倶楽部とは区別される)に代表され、コナミのゲームミュージック=フュージョンという図式がいまだ根強い。
1980年代後期のゲームミュージック全盛期にフュージョンが多かったのは、セガのアウトランの商業的成功が大きい面もあるけど、1970年代からのフュージョンブームの最中にあったことを見逃してはいけない。F1のテーマ曲としてヒットしたザ・スクェアの「TRUTH」は1987年発表である。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) April 10, 2014
ゲームミュージックというレコードが世に出た経緯を紐解けば、細野晴臣がゼビウスを出したのが最初で、その細野晴臣はYMOでインベーダーやサーカス(黎明期のビデオゲーム)の音を楽曲に取り入れている。
YMOは「テクノ・ポップ」や「ニューウェーブ」といったジャンル分けをされるが、初期はフュージョンにディスコ・サウンドを取り入れた音楽性を指向していた。
話は前後するが、細野晴臣がゼビウスを出したアルファレコードにG.M.O.レコードというレーベルが出来て、そこからアウトランが発売された。
つまり、当時のフュージョンブームとゲームミュージックは非常に近しい関係であったというところを見逃してはいけない。
日本ではザ・スクェア(後にサックスの伊東たけしが本田雅人とメンバーチェンジするタイミングでT-SQUAREに改名)の「TRUTH」のヒットにより1990年代もフュージョンブームが続くが、世界的に見れば商業的には下降線。
ゲームミュージックも、プレイステーションやセガサターンの登場によりゲームがCD-ROMに移行した時期に音楽的なトレンドも変化していくことになる。