旧萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ ※更新終了

4/24 M3-2016春 FMPSG新作と委託頒布のお知らせ

来る2016年4月24日(日)11:00~15:30、東京流通センター(TRC)で開催される音系・メディアミックス音楽即売会「M3-2016春」にサークルFMPSGが出展します。スペースは第一展示場 H-14ab「FMPSG+打ち込み魂」です。入場にはカタログ(1,000円)必須です。


サークルFMPSGの新作『FMPSG022 -Titan-』(500円)にわたくし萌尽狼の新曲「ごはん炊いたんですよ!」が収録されることになりました。
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FM音源・PSG音源等を使用した、カヴァー及びオリジナル曲を収録した音楽CD(全22曲、収録時間約78分)です。※告知サイトと動画で試聴できる曲が違うので両方チェックをオススメします。


また、ASIA LUNARの『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく8』(500円)を委託頒布させていただけることになりました。
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PSG系の音源を使用した、ゲームミュージックカヴァー曲を収録した音楽CD(全18曲、収録時間約49分)です。FMPSGからの再録が多いですが、このCDでしか聴けないアレンジもたくさんあります!
soundcloud.com


ぜひFMPSGをよろしくお願いします。



以下、新曲「ごはん炊いたんですよ!」について、作曲のいきさつや、想定場面と打ち込みテクニックの解説です。


新曲「ごはん炊いたんですよ!」について

拙作のゲームボーイサウンドフォント(DMG-CPU1.5.SF2)を使用した、ゲームボーイ音源のオリジナル曲です。
ガールズ&パンツァー』(以下ガルパン)のメインキャラクター秋山優花里の母、秋山好子をイメージした曲になりました。

ライナーノーツ(ブックレットに掲載)

ガルパン秋山優花里はリュックサックで飯盒をいつも持ち歩いています。彼女のテーマ曲「戦車の知識では誰にも負けません!」をイメージして作り始めたものの、途中から夕ごはんが出来ても部屋から出てこない優花里を「まったくしょうがない子ねえ」と食卓で待つ母、秋山好子のイメージに変わってしまいました。メロディーで歌うことを意識すると、どうしてもフュージョンっぽくなってしまうんですよねえ。ガルパンはいいぞ

ただガルパンはいいぞ!」が言いたかっただけじゃないか(笑)。

作曲のいきさつ

ライナーノーツに簡潔にまとまっていますが、もう少し詳しく説明します。

まず、『ガルパンボーイ』という少年なんだか少女なんだかよくわからない仮想サントラ企画が先にあり、ゲームボーイ音源でオリジナルのガルパン風の曲をいくつかまとめて作りたいと思っていましたが、企画としてはゲームミュージックガルパン風にアレンジするいくつかの企画(『空中戦車道』の続編など)のほうが先行していたという事情がありました。

moetsukiro.hatenablog.jp

なので、当初からガルパン秋山優花里のテーマ曲「戦車の知識では誰にも負けません!」をイメージした楽曲ということになります。
曲名は当初「ごはん炊いたんです!」にするつもりでしたが、桃屋ごはんですよ!にかけて「ごはん炊いたんですよ!」に決まりました。

ところが2月は仕事のストレスと前述の企画進行で私生活がめちゃくちゃになっており、結局作曲に手つかずのままFMPSG022の楽曲募集期間が終了したものの、3月に入り若干〆切が延長され精神的にも落ち着いてきたこともあり、日の目を見ることが出来たというわけです。

moetsukiro.hatenablog.jp

ちなみに当初は「ごはん炊いたんです!」と同時に「ビルの解体(短期)」という『レッキングクルー』のような構想も練っていました。
体(短って「タイタン」を曲名にどうやってねじ込もうかと考えあぐねいた結果、ちょっとひねり過ぎた感じになってますね。
ギターのカッティングを裏拍で2音重ねて、ゲームボーイでスカをもうちょっとうまく作れないか? というのは以前から考えています。


想定場面解説

「ごはん炊いたんですよ!」は、Aメロ~Bメロ(前半・後半)~A'メロのループなしという1分半程度のシンプルな構成の楽曲になっています。
この字コンテをもとに吹奏楽アレンジ+アニメのPVを作りたいと思いましたが、今はゲームレジェンドの新作に集中しなくてはならないので…

Aメロ

 夕方、秋山理髪店。
「ただいまーっ」
 戦車道の練習を終えた優花里が帰宅するも、2階の自室へ直行。
 父、淳五郎は最後の客のカットを終えてそろそろ店じまい。
 母、好子は夕飯の支度をしている、そんないつもの日常風景。

Aメロは当初優花里のテーマとして作曲を進めていた都合もあり、特に何かを意図したメロディーではない。
元ネタに近い笛とスネアドラムを中心とした編成であるものの、チップチューンなのでメロディーをハモらせたりベースを加えたりして、イメージを損なわない程度に肉付けをしている。

Bメロ前半(試聴部分)

「優花里ーっ、ごはんよーっ?」
 好子は階段下から呼びかけるも2階からは返事がない。
 優花里は自室で何かに夢中になっているようだ。
「まったくしょうがない子ねえ…」
 好子は食卓で頬杖をついて優花里が下りてくるのを待っている。

Aメロとはうって変わって憂いのあるメロディーに変わる。

Bメロ後半(試聴部分)

 階段をドタドタと駆け下りてくる優花里。

メロディーが上り調子になり、次第に明るくなってくる。

A'メロ

「今日は優花里の大好きなカレーライスよ!」
 今日も楽しい夕食が始まる…

2階から下りてきた優花里のメロディー(合いの手)が加わり、大団円で終わる。


打ち込みテクニック解説

矩形波のみのアンサンブルから次第にゲームボーイ音源らしい音使いに変化していく展開に、前作『FMPSG020 -DECADE-』収録の「The Song of Life」(TBS「世界遺産」テーマ曲)と似た印象を持った方も多いのではないかと思います。
「ごはん炊いたんですよ!」は、前述のとおりAメロ~Bメロ~A'メロのループなしという1分半程度のシンプルな構成の楽曲ではありますが、随所にゲームボーイサウンドフォントを使ううえで基本的なテクニックをふんだんに盛り込んだ作品になっています。
試聴で公開されているのはBメロ部分なので、ここで使っているテクニックをいくつか解説します。

CH3:ベース


まず、ベースがファミコン音源は三角波に対しゲームボーイ音源は波形メモリであるという違いはご存知かと思いますが、ファミコン三角波は音量固定なのに対しゲームボーイの波形メモリは大中小と大雑把ではありますが音量差が付けられるのでディレイ効果を出すことが出来ます。

CH2:アルペジオ


特にBメロでは、ステレオにパンを振ったアルペジオとの相乗効果で少ない発音数でもセブンスコードの憂いのある音の響きを表現することができています。

CH1:メロディー


次にメロディーですが、ゲームボーイのハードウェアエンベロープの減衰形にしてはとても長く音が伸びているのがわかると思います。
これは白玉音符を3分割し、ベロシティを徐々に小さくしていくことで継ぎ目が目立たないように打ち込んであるのです。
ソロだと継ぎ目が目立ちますが、混ぜると案外わからないものです。

CH4:ドラム


ノイズですが、ライドシンバルにバスドラムを割りこませることで擬似的に2音鳴っているように聞かせています。
また、今回アクセントでスネアドラムの音色を変えるということを初めてやってみました。BメロよりAメロの方が効果的かと思います。

これはどうやるのかというと、16分音符の場合、頭の64音符だけ別のノイズ音色にして、元の16分音符は付点32分音符に短くしているのです。
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ゲームボーイサウンドフォントのスネアドラムは4種類しかありませんが、このようにアタック部分だけ別の音色に差し替えることでさまざまなバリエーションを作ることが出来るのです。
いずれもピアノロールでグラフィカルに編集可能なDAWならではのチップチューンの打ち込みテクニックと言えるでしょう。