旧萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ ※更新終了

構想18年、ASIA LUNARオリジナル作品『みこたん~巫女と戦車と滝川と~』がついに完結しました!

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構想18年、ASIA LUNARオリジナル作品『みこたん~巫女と戦車と滝川と~』がついに完結しました!
昨日5/26、特設サイトがオープンしました。
http://asialunar.info/mikotank.html


みこたんとは

『みこたん~巫女と戦車と滝川と~』は、北海道滝川市を舞台に巫女さんが霊力と戦車で鬼と戦う物語です。

2018年は北海道命名150年、滝川市制施行60年の節目の年。

滝川市には、

があり、古くから交通の要衝として栄えてきました。

滝川は屯田兵が開拓した町です。
空知炭田を後背地とし、炭鉱マンの盛り場として商業が発展しました。
戦時中には石炭から石油代替燃料(人造石油)を造る軍需工場があり、戦後その跡地に北海道電力の石炭火力発電所があったため「エネルギーのまち」と呼ばれることもあります。

『みこたん~巫女と戦車と滝川と~』は実家が神社で巫女さんの女子高校生が石炭から人造人間を造り出したマッドサイエンティストと戦う物語ですが、この作品をきっかけに年追うごとに失われていく北海道人造石油関連施設など、滝川市の歴史や文化に興味を持っていただければ幸いです。


サイト内容について

大きく「作品概要」「前日譚」「設定資料」の3つに分かれています。
従前『みこたん』特設サイトには不可欠だった滝川市紹介については、先日公開の『北海道滝川市フォトギャラリー』として完全に分離しました。

「作品概要」では、下記についてまとめました。

  • みこたんとは
  • あらすじ
  • 登場人物
  • 用語解説
  • 地図
  • 参考写真
  • 決戦兵器
  • 音楽
  • スタッフ

「前日譚」では、鬼を追って巫女姉妹が道東の厚岸から、道北の旭川を経て、道央の滝川にやってくるいきさつについて、小説形式でまとめました。

「設定資料」では、2017年3月~9月の「kなしmikotan」から登場人物に関する本編未使用設定と、それより前に描かれたキャラクターデザインをまとめました。

  • 生没年表
  • その他登場人物
  • 参考文献リスト
  • キャラクターデザイン

完結させるにあたり、念のため企画開始当初の設定資料にも目を通しましたが、「kなしmikotan」より前から流用したのはキャラクターデザインと音楽のみです。
あらすじは「kなしmikotan」最終稿のままですが、今回新たに決戦兵器「退魔戦車 鬼斬」の設定を書き起こし「kありmikotank」として完結させることができました。

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みこたん特設サイト復活までの経緯

3月から段階的に進めてきたASIA LUNARウェブサイト最終リニューアルですが、5/8のイラストギャラリー公開、5/19の小説集・リンク集公開で『みこたん』に関して外堀が埋まってきた感がありました。
旧サイトをDVDからHDDにコピーするのに丸2日かかって5/21に古い方から発掘作業開始したものの、すぐにコレではダメだと気づいて先に『北海道滝川市フォトギャラリー』をまとめて5/23に公開しました。
この時点で絵素材やスタッフロールがまとまっていたので、あらすじ最終稿に沿う形で「kなしmikotan」の設定をまとめ直し、昨日5/26に特設サイトが復活、再び「kありmikotank」になりました。

kありmikotank

  • 「巫女+戦車=みこたん」という安直なネーミングを思いつく(2000年12月)
  • 藍凰める・りこ姉妹が登場し、滝川市が舞台のウェブサイト上のボードゲームPBeM)として本格始動(2002年春)
  • 宮原いつきさんとともに2度にわたる大規模ロケハン「リアル不毛な戦い」を敢行(2003年冬~2004年夏)
  • 日野伊鶴・邦衛親子と黒崎皐月・早苗が登場し、舞台を福岡県大牟田市に移し、人造石油にまつわる物語へとシフト(2004年)※炭鉱(ヤマ)の火達磨篇
  • 設定が逆転して、伊鶴が滝川神社の巫女に、める・りこ姉妹が他所から来た巫女に。櫻井善太さんにイラストを描いてもらう(2005年)
  • 特設サイトをアットウィキに移行し、タイトルを『そらとも~空知の空想と知識~』とする(2006年)
  • 「精神統一」「神居古潭」「鬼の爪痕」といったメインテーマ曲を作曲(2007年頃)
  • TeamStoneGuild主催の同人企画・スタッフ募集交流会「Communication of Creators」に参加して3D STG化を目論む(2008年)
  • アットウィキ撤退、再びASIA LUNARウェブサイト内の特設サイトとなるもフェードアウト(2010年頃)

PBeM時代は「巫女VS巫女」だったものが、「炭鉱(ヤマ)の火達磨篇」以降は敵の存在や、他所から来た巫女が何のために戦うのかを明確にできないことが長年の悩みでした。

kなしmikotan

  • 2006年11月帰郷、滝川市内の写真を再び撮り始める(当ブログ過去ログ参照)
  • クロが登場し、「滝川→時川」など滝川市とその周辺を架空地名に置き換え、設定から戦車が消えた「kなしmikotan」公開(2017年2月)
  • 伊鶴の親友、白鳥ちひろ・四条すざくが登場し、SNS「Tokitter」で日常会話が進行(2017年4月)
  • タイトルを『巫女と炭人』(みことたんじん)とする。「みことすみんちゅ」ではない(2017年5月)
  • タイトルを元に戻し、PBeM時代に近い滝川市マップが復活(2017年6月)
  • フルスクリーン表示のフォトギャラリー化(2017年7月)
  • あらすじ最終稿まとまる(2017年8月)
  • ある方から「よくわからないけどこれ何?」的なことを言われ、やりたいことが伝わらないサイトデザインが問題に。ASIA LUNAR活動終了を決断(2017年9月)

短期間にいろいろやっててぐちゃぐちゃですが、この間に滝川市史上下続巻・外伝を読み込んでおいたのがよかったと思います。


影響を受けた作品

『みこたん』が直接影響を受けたのは、アリスソフトの『戦巫女』(1997年)と、あさりよしとおの『中空知防衛軍』(1985年)です。
この2作品を合わせると、傷ついた異能力者が巫女さんの力を借りて滝川市を守るという、『みこたん』の本筋になるわけです。
この2作品は旧サイトでも明記してますし、『中空知防衛軍』に至ってはつい最近まで作中にそれとわかる描写がありました。
ただ影響があまりにも大きすぎるため、最終的には『中空知防衛軍』からの脱却を図りました。

巫女さんと鬼に関しては上山道郎の『怪奇警察PSY-POLICE』(1991年)の影響が強いですね。京子が一番最初に萌えた巫女さんですからね。

市街地で戦車戦をする3D STG化を目論んだことについては、ナムコの『TOKYO WARS』(1996年)の影響です。
『TOKYO WARS』といえば小林源文の『TOKYO WARS』こと『レイド・オン・トーキョー』(1991年)では滝川も戦場になっています。

小説集ページの解説で『0th4th:revive』盲目の姫君ユリアーナ・バートンの元ネタが、的良みらん成年コミック『BAD MEDICINE』(2002年)の鈴上ユズキということは以前書きましたが、『みこたん』も同時期に企画していたので的良みらん作品の影響も少なくないと思います。
ドイツから人造石油のライセンス供与を受けていたのは史実ですが、それをクロという人造人間に残したのは『PALLADIUM GARDEN』(2000年)と『おまもりひまり』(2006~2013年)に登場する神宮寺くえすの影響かなとも思います。

また、日本陸軍の人造人間という点では、セーラームーンキャラクターデザイナー只野和子の漫画『AYUS -アーユス- 第二次生命体』(1996年)の影響もあります。

2005年になると、柿崎俊道聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり』や、田村尚也野上武志『萌えよ!戦車学校』などに影響を受けます。
初期の『みこたん』は61式など退役戦車で、同じく田村尚也の『日本で見られる戦車ガイド』(1999年)などを参考にしていましたが、2004年頃におにぎり型の戦車というデザインが決まってから、その誕生経緯については二転三転しており、『萌えよ!戦車学校Ⅱ型』(2006年)の影響もあり、一時は日本陸軍が採用を見送ったクリスティー式だったという設定も残っています(なんという継続高校)。
『みこたん』の戦車は、北海道発の鉄道である手宮の港に陸揚げされた、イギリスの菱形戦車をお侍さんがぶった切って三角形の戦車にしたというざっくりとした設定はあったものの、大正時代に侍はおかしいし、その他に類を見ない形状を裏付けることは当時の知識量では納得のいく答えを出すことができませんでした。


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その後ガールズ&パンツァー』(2012年~)がヒットして私もドハマリするわけですが、大洗のようなバトルを滝川でやりたかったわけで、その後の聖地巡礼の盛り上がりも含めて、やりたいことはすべてガルパンにやられてしまったという敗北感を覚えます。戦車に対するこだわりも自分では敵わないと。
2017年に復活した際に設定から戦車が消えた「kなしmikotan」になったのはガルパンの影響なのです。

ただガルパンからは、聖地は生モノである、聖地はどんどん姿を変えていくものであるということも、実際に現地を訪れて聖地巡礼をする中で学びました。
大洗もアニメに出てきた町並みが今も変わらず残っているわけではありません。大きくは変わらないけど、細かいところでどんどん街は姿を変えていきます。
2016年に滝川に戻ってきてからわずか1年ほどの間に、伊藤商事の取り壊しや滝川中央病院の新築など、人造石油関連施設が次々に失われていきました。
変わらない物語と、変わる聖地を、どうひとつの作品としてまとめていくか、そのよいお手本となったのもまたガルパンなのです。