PCエンジンのHuカードとCD-ROM2の同名タイトルについて
『スーパーダライアス』だけでいいのになぜか『ダライアスプラス』もあるじゃないですか。Huカード版もあればPCエンジンGTでも遊べる。それはわかるけど…
そういえばPCエンジンには『太平記』ってゲームが2つあった気がする。違いはなんだろう?
そうしたふとした疑問からこの調べ物は始まった。
HuカードとCD-ROM2で同じタイトルがある理由としては、CD-ROM2が高価だったため普及するまでHuカード版も併売していたという考え方が一般的であるが、果たして本当にそうなのだろうか?
リストアップして整理していくと、個々の事情が少しずつ見えてきた。
1 ほぼ同時期(半年後)
Huカード版・CD-ROM2版どちらかのソースを流用して作り直すのに約半年かかっているものと思われる(獣王記をのぞく)。
はじめから両方の発売予定がわかっていれば二度買いはないが、片方の売れ行き次第でもう片方を作った可能性は十分考えられる。
1-1 Huカード版が先
Huカード版が先でCD-ROM2版が後の場合はおおむねサウンド・ビジュアルが強化される傾向にある。
ただし、アーケードからの移植の場合『グラディウスⅡ』のようにFM音源を忠実に再現するのではなく、アレンジバージョンになっている。
1-2 CD-ROM2版が先
CD-ROM2版が先の場合はHuカード版についてそれぞれ個別の事情がありそうだ。
ダライアス
『スーパーダライアス』のバグ修正・バランス調整版。ただしボスが26体から16体に減っている。
『スーパーダライアス』の裏技「26体戦えますか?」モードは別個非売品のHuカード『ダライアスアルファ』になった。
獣王記
Huカード版が1週間遅れということは何らかの理由で同時発売できなかっただけっぽい。
なおCD-ROM2版の初回生産分はシステムカードver1.0以外でプレイすると変身シーンでフリーズするバグがあるので注意(昔中古屋で安かったので買おうとしたら店員に止められたことあり)。
熱血高校ドッジボール部 サッカー編
- [SCD] 熱血高校ドッジボール部 CDサッカー編(1991年12月20日/ナグザット)
- [Hu] 熱血高校ドッジボール部 PCサッカー編(1992年4月3日/ナグザット)
ファミコンからの移植。低年齢層向けにHuカード版も発売する必要があったと思われる。
なお前作の『熱血高校ドッジボール部 PC番外編』(1990年3月30日/ナグザット)はHuカードだった。
※他機種からの移植でないものは『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』だけ。
※Huカード版とCD-ROM2版で完全に同じタイトルなのは『獣王記』と『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』の2本だけ。
2 同時期ではない
3 その他
太平記
- [CD] 太平記(1991年12月13日/インテック)
- [Hu] NHK大河ドラマ 太平記(1992年01月31日/NHKエンタープライズ)
メーカー・ゲーム内容が全く異なる。NHK大河ドラマ『太平記』が放送されたのは1991年なので、NHKは先に無関係なメーカーから『太平記』を出されてしまったことになる。
4 ROMRAMについて
Huカード版ポピュラスはROMRAM(ロムラム)という、Huカード内にシステムカードのようなRAM領域がある唯一のソフトになっている。ロムロムとロムラム、名前がまぎらわしいのでずっとCD-ROM2だと勘違いしてた。
後期のPCエンジンソフトがほとんどスーパーCD-ROM2になったのは、Huカードではメモリ不足っていう問題があったからなのかもしれません。
スーパーCD-ROM2で旧CD-ROM2のメモリ不足を解消したらHuカードのメモリ不足も解消されたので、無理してメモリ不足のHuカードで作る意味がなくなってしまったのではないだろうか?
そうなるとHuカードの優位性はROMへのアクセス速度くらいしか残ってない。『ストリートファイターⅡダッシュ』だけ20メガビットの大容量Huカードだったが、これはアクセス速度を優先したのだろう。
過渡期の商品って興味深い。
5 あとがき
ゲームボーイの『ゼルダの伝説 夢をみる島』とゲームボーイカラーの『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』とか、ワンダースワンの『GUNPEY』とワンダースワンカラーの『GUNPEY EX』とか、メガドライブの『バーチャレーシング』とスーパー32Xの『バーチャレーシングデラックス』とか、他機種でも同様のケースはあるものの、PCエンジンの場合はそれらとは事情が異なる気がしたのです(単に私がPCエンジン好きなだけかもしれないけど)。
どうしてHuカードで出せそうなゲームまでもがスーパーCD-ROM2で出ていたのか、どうしてHuカードのゲームは発売されなくなってしまったのか、ずっと疑問だったのですが、ポピュラスのロムラムを紐解くことで少し謎がとけたような気がします。あとは当時の開発者をつかまえて言質を取るだけですね。
旧ロムロムの苦労話については元ハドソンの岩崎啓眞氏の同人誌とかのほうが詳しいのでそっちを見てください。
Twitterで情報提供くださった皆さん、ありがとうございました。
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本記事はもともとASIA LUNARウェブサイト内「ゲーム音楽アレンジ作品紹介ページ」の『ダライアスプラス』原稿執筆中にふとした疑問から始まった調べ物でしたが、紙幅の関係上このネタはボツにしました。
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