映画音楽分析理論を援用したゲーム音楽議論で日本が出遅れていると聞いて
日本のゲーム音楽識者でKaren Collinsに言及している人はほとんど見たことがない。ゲーム音楽をゲーム音楽たらしめるものは何かという議論が、日本ではまるで未成熟だからでしょう。海外だとそこを詰めるために映画音楽の分析理論を援用する一派がいる。
— hally (VORC) (@hallyvorc) September 7, 2014
映画音楽分析理論の援用から、欧米ではゲームサウンドをダイジェティック/ノンダイジェティックという軸で分析する手法が確立され、無数の論文が出ています。まずこの状況が、日本のゲーム音楽研究家に全く伝わってきていない。理論武装の面で日本のゲーム音楽研究は完全に周回遅れです。
— hally (VORC) (@hallyvorc) September 7, 2014
勿論ダイジェティック論が全てではないし、逆に欧米は論理分析ばかりが先行していて文化史研究の面で地に足がついていないところも多いです。がしかしそれにしても、Sander Huibertsくらいは基礎文献として翻訳されてないと不味い……という危機感を日々募らせています。
— hally (VORC) (@hallyvorc) September 7, 2014
なにやら難しい言葉が出てきた!
以下、軽くググッたうえでの個人的な解釈。間違ってたら教えて下さい!
ダイジェティック/ノンダイジェティックとは、ゲームの「音」が物語の中の世界から来ているのか、それともその外(つまり物語の外だけどゲームの中)から来ているのか、という分け方らしい。 http://t.co/iPeNALBhMI
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
ダイジェティックなゲーム音楽というとGTAのカーステといういめーじしか沸かないな。ほとんどのゲーム音楽がノンダイジェスティックであり、効果音という点でダイジェティックなものが混在するというくらいか。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
これは難しいんじゃないだろうか(寝不足の俺の頭には)
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
たぶん映像音楽という世界から考えると正しいんだろう、ゲーム音楽という特殊性を暴くためにも必要なことなんだろう。ダイジェティックになった分岐点は音声の導入、一人称ゲーム(RPG、ADV、FPS)、シミュレーション(シムシリーズなど)など複数あってそれで歴史が語れるんだろう。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
@Saiyo_314 難しいのはチップ音源によって発せられる効果音がその世界で実際に鳴っている音を画面の外に伝えているものなのかどうかということで、ゲームの中では生音が鳴っているという前提だとチップ時代のゲームはすべてノンダイジェスティックという解釈になるのでしょう。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
つまりPCM音源がゲーム機に載ったということは単に音声やドラムなどの楽器音がリアルになったというだけではない、ダイジェティックな音表現が可能になったんだという特異性こそがまず注目されるべきなんでしょうね。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
映画と違ってノンダイジェスティックを立脚点とするゲームでは、いかにダイジェティックなサウンドに移行していったか、が語られるべきテーマということでしょうね。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
最近の8ビット風ゲームは世界観がドット絵で構築されているので効果音もチップ音源で鳴ってるのでダイジェティックだから昔のゲームとは根本的に異なる、とかそういう議論になってくるのでしょうか?
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
これ識者からのツッコミ待ちな感じだわ。
— 萌尽狼(日本空中戦車道連盟) (@asialunar) September 7, 2014
ゲーム音楽を楽しむためのガイドブックとしてのゲーム音楽史を否定するわけではないけども、こういった観点でゲーム音楽とはどのように成り立っているのかを考える機会がないという指摘は、ゲーム音楽作曲経験がある私としてもハッとすることだったのでまとめておきました。
追記
私の妄想が間違いであることを指摘してくださった方がいます。どうもありがとう。
日本のゲーム音楽論が出遅れている件について - ゲーム音楽史研究所
ただ、挙げられている文献が英語であるため、全てに目を通すのは時間がかかりそうです。
私はゲーム音楽について専門教育を受け、また一時期指導的な立場にありました。しかしながらそれは極めて日本的な作り方についてであり、これらの文献を参照する限り、またイチから勉強し直さなければ到底追いつけない業界に変わってしまったのだなと痛感する次第です。
蛇足。
海外でMicrosoftがFPS用のゲーム音楽をライブラリ化し、どのゲームでも使用できるようにしたというニュースが過去にありました。それに対し、ゲーム音楽はひとつのゲームに紐付いた固有のものであるべきという主張が見られ、私も同意見でした。
ただ、今翻訳しながら読んでいるIEZA Frameworkのような考え方をもってすれば、ゲーム音楽が体系的にまとめられるのは然るべきことで、この時点でかなりの差が付いていたんだろうなぁと思いました。