「DeeMax」はゲーム音楽・チップチューンのマスタリングに使えるか!?
チップチューンは、矩形波なので音量が大きくなりがちなPSG系と、FM音源やPCM音源など複数の音源を取りまとめなくてはいけないので、マスタリングに特殊なテクニックが必要で難しい傾向にあります。
拙作ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくはゲームボーイ音源オンリー(8は例外ですが)なのでDAWから出力した波形をそのままCDにすればほとんどマスタリングの必要はなかったのですが、過去にFMPSGでマスタリングをやらせてもらった時は音量が稼げなくて辛酸をなめた経験があります(ホントFMPSG004のマスタリングは他の誰かにやり直してもらいたい…)。
そんなチップチューンのマスタリングの救世主に「DeeMax」はなるのでしょうか?
DeeMaxは通すだけで音が変わるプラグイン
DeeMaxは通すだけでオフの状態でも音のキャラクターが変わってしまうプラグインなので、これまでレベルマキシマイザーに求めてきた音の個性を変えずに音量だけ稼ぎたい用途には向いてないかもしれません。
(私はL1クローンと呼ばれるフリーVSTの中では比較的マイナーな、LoudMaxが好きで使っています)
アナログミキサーでいえばMACKIE.みたいなもので、MACKIE.のアメリカンな、ちょっと突っ込んで入れるとコンプがかかったような音になるのを期待してMACKIE.を使うような、そんな感じです。
なので原音重視なマスタリングをする方針の場合はちょっと注意が必要かもしれません。
なぜかSPCだけノイズが…
今回、1/16に大阪・ゲーム探偵団Barで開催予定のSTGオンリーゲーム音楽DJイベント「新シューターソンショー」用のミックスのマスタリングに使う目的で「DeeMax」を購入しました。
冒頭に挙げたPSG、FM音源系の他に、普通にCDからリッピングした音源などを混ぜても、アタック感が強調されたバキバキのマスタリングになって概ね満足です。
特にPCMが埋もれてしまいがちなVGM/VGZ(メガドライブ)はリズム隊がはっきり前に出てきてクラブ向けの音源に化けてくれた感があります。
ただ、どういうわけかSPC(スーパーファミコン)だけノイズが乗ってしまいました。あとアコースティック系の音源も不向きなようです。
SPCはロービットサンプリングのノイズが「DeeMax」をかけたことによって強調されてしまい、それがノイズになってしまったようです。
昔のサントラCDみたいにうっすらリバーブをかけることで回避できそうな気もしましたが、それもなんだかなあということで入力ゲインを少し下げることで解決しました。
結局この手のプラグインはかけ過ぎはよくないってことですかね?
既にマスタリング済みの音源はかけ過ぎに要注意
最近のCDなど、既に波形が羊羹になるまでカッチリマスタリングが施された音源を「DeeMax」に通すと、当たり前のことですがかけ過ぎになります。
かけ過ぎても音楽的ないびつさが出づらいのが「DeeMax」の特徴だと思いますが、それでもほどほどにしないと…
まあ最初からマスタリングが破綻してるミックスのCDも多いですけどね。
出雲重機さんのデザインが秀逸
これは確かによく出来ていて、動かしてみるとそのリアルさがわかっていただけると思います。レバーの重さが伝わってくる挙動もいいですね!
もともとDAWソフトって立体的なインターフェイスのソフトが多いですけど、その中でもこのレバーはひときわ立体感があるデザインになっています。
で、結局チップチューンのマスタリングには使えるの?
イケイケな音に仕上げるならいいと思いますが、それは作品の方向性次第なので…
個人的には大変気に入りました。LoudMaxもやや低音強調気味ではありますが、それよりももっとガッツリかけたい時には重宝すると思います。
まあダマされたと思って一度試してみてもらいたいエフェクトではあると思います。体験版は5分まで使えますよ。
www.dtmstation.com
DOTEC-AUDIO(ドーテック・オーディオ) - "DeeMax" VST & AU & AAX plug-in