旧萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ ※更新終了

『ときめきアイドル』に過去の栄光を求めて~ときメモ・ツイパラ・ダダンダーンをつなぐ國府田マリ子~

2017年9月15日にコナミの新作ゲームアプリ『ときめきアイドル』が発表され、ゲームに登場する15人のアイドル候補生のプロフィールや、東京ゲームショウ2017で無料配布される先行試聴CD『ときめきアイドル ~Prologue CD Try to Star~』に盛り込まれたネタについて、往時を知るファンの間で話題になっています。要点は次の3つ。

  1. アイドル候補生のひとり「片桐奈々菜」は「不思議な言い回しは心の師匠の影響」という設定で、『ときめきメモリアル』に登場した片桐彩子を彷彿とさせる。
  2. アイドル候補生のひとり「伊澄いずみ」は「目標は国民的ゲームアイドル!トップゲームアイドルになって、グラディウスの続編を作るんだ!」「ゲーム大好き少女。レトロゲームマニアでシューティングゲームが得意。」という設定。
  3. 先行試聴CD『ときめきアイドル ~Prologue CD Try to Star~』に「Twin memories W」「闘え!ダダンダーンV」が収録される。


このうちツイッターでは特に、次のキーワードに反応した人が多かったように見受けられました。

かくいう私もそのひとりですが、TLでは「なぜダダンダーン?」といった反応も見られました。確かに『究極戦隊ダダンダーン』は移植も続編もないマイナーゲームですし、レトロゲームである以外に『ときめきアイドル』の世界観とは無縁な浮いた存在に見えます。

実は『ときめきメモリアル』『ツインビーPARADISE』『究極戦隊ダダンダーン』に共通するある女性がいるのです。それはまさに第3次声優ブームのアイドルだった國府田マリ子です。


國府田マリ子と1990年代のコナミを振り返る

國府田マリ子はアニメ『GS美神』(1993年4月11日~1994年3月6日)のおキヌちゃん役で火がついた印象が強いのですが、同時期に発売されたミニアルバム『Pop'nツインビー』(1993年4月21日発売)でDr.マードックの孫娘マドカ役でモノローグを演じ、そしてボーカルアレンジバージョン「Twin memories」を歌っています。

1993年10月には彼女がパーソナリティを務めるラジオ番組が2つスタートしています。文化放送ツインビーPARADISE』とラジオ大阪國府田マリ子のGAME MUSEUM』です。「Twin memories」は『ツインビーPARADISE』のドラマ主題歌となり広く知られるようになります。また『國府田マリ子のGAME MUSEUM』は古川もとあきの『ゲームミュージッククラブ』の後番組といえるものです。

ミニアルバム『Pop'nツインビー』と文化放送ツインビーPARADISE』の間に展開されたのが『ウィンビー国民的アイドル化計画』で、これは『出たな!!ツインビー』から登場したウィンビーパイロットの少女(この時点ではまだ名前も声も付いていない)を周知し、二次創作などで応援するファン参加型のバーチャルアイドル企画でした。

コナミSFC『魍魎戦記MADARA2』(1993年7月16日発売)のCMソング「Lights~遥かなる旅立ち~」など、ツインビー以外でも國府田マリ子を起用するようになり、『CDドラマ ときめきメモリアル』(1994年6月3日発売)ではCDドラマオリジナルキャラクターの十一夜恵を、『CDドラマ 究極戦隊ダダンダーン おそるべき悪魔の陰謀』(1994年9月21日発売)ではこちらもCDドラマオリジナルキャラクターの玲子を演じています。

1993年秋稼働のAC『究極戦隊ダダンダーン』は1面BGMが子門真人が歌う「闘え!ダダンダーン」で、『國府田マリ子のGAME MUSEUM』のゲームミュージックカウントダウンでも数週間にわたってランクインするなど話題となりました。コナミは1995年春稼働のAC『ツインビーヤッホー! ふしぎの国で大あばれ!!』でもオープニングに國府田マリ子の「僕らのステキ」(『ツインビーPARADISE2』のドラマ主題歌)が流れるなど、アーケードゲームで歌を流すことに注力していた時期です。

『ウィンビー国民的アイドル化計画』はデビューアルバム『しあわせの楽園(パラダイス)』(1994年12月21日)の発売をもって終了しますが、コナミは『ときめきメモリアル』のヒロイン藤崎詩織(CV:金月真美)をシングル『教えてMr.Sky/風と一緒に行こう』(1996年12月5日発売)でデビューさせバーチャルアイドルとして初めて成功します。

なお、國府田マリ子のCDは1stアルバム『Pure』(1994年11月23日発売)から12thアルバム『ビタミンぱんちっ!』(2005年11月2日発売)までキングレコードから発売されましたが、うち6thアルバム『やってみよう』(1999年2月26日発売)までがコナミレーベルです。OVAツインビーPARADISE Vol.3』が発売されたのが1999年4月25日ですから、この頃にコナミ國府田マリ子の蜜月関係は終了したのでしょう。

さて、1994年といえば『究極戦隊ダダンダーン』の熱血クサメロとともにコナミ矩形波倶楽部に掟破りの超大作がありました。PC-9821『ポリスノーツ』(1994年7月29日発売)です。PC-8801スナッチャー』(1988年11月26日発売)に続く小島組のアドベンチャーゲームですが、映画的な演出とインタラクティブなゲームシステムがより進化した作品となっています。

SFハードボイルドの世界観に応えるべく制作されたサウンドトラックは、後半シリアスな展開が続いた『ツインビーPARADISE』にも使用され、一部楽曲が『ツインビーPARADISE3 サントラセレクション』(1997年2月21日発売)に再録されています。また小島組は『ポリスノーツ』のゲームシステムで1997年から『ときめきメモリアルドラマシリーズ』を制作しています。



いかがでしたでしょうか?

『CDドラマ 究極戦隊ダダンダーン おそるべき悪魔の陰謀』は「密林の果てに」と「究極ロマンサー」のオダクラアキラによるアレンジバージョンや、影山ヒロノブが歌う「ぼくらのダダンダーン」といった、ドラマ以外の部分がおいしいCDなのですが(おいおい)、コナミファンにも國府田マリ子ファンにもマイナーな作品だと思われるので、いまいちピンとこなかったかもしれませんね。

そんなマニアックなネタまで仕込んできた『ときめきアイドル』はコナミファンとして注目せざるを得ないゲームになりそうです。ロケテグラディウスファンを期待させておいて失速した『オトメディウス』の二の舞にならないことを願うばかりです。