『ときめきアイドル』はももいろクローバーZを目指している!?~声優ビジネスの世代交代問題~
『ときめきアイドル』の伊澄いずみにグラディウスの続編を作りたいと言わせたのは、自虐マーケティングの可能性が考えられます。
CDボックス『グラディウスアルティメットコレクション』など、グラディウス関連商品はロングテールで売れ続けており、潜在的ニーズが高いことは明らかですが、続編を作ったとして実際にどれだけのマネーが動くかは未知数です。FacebookやTwiterのいいねの数が売上に必ずしも貢献しないことをイメージしていただければわかると思いますが、グラディウスの続編を出せと言ってる人たちが本当にお金を出してくれるのかはまだわからないのです。
そこで『ときめきアイドル』という課金ゲームを使って、ときメモファンドとニッチ市場のマーケティングを同時にやっちゃおうというのが本作におけるコナミの意図かもしれません。
国内外のレトロゲームリバイバルブームでグラディウスというブランドが待望されたいることはコナミとしても痛いほどわかっていることでしょう。
しかし過去に、プレイステーション3で続編が開発中止になった経緯や、グラディウスリバースやオトメディウスの売上を踏まえるとコスト計算がシビアであることは想像に難くありません。
現在のゲーム業界は必ず当てなきゃいけない風潮ですから、石橋ならぬモアイを叩いて渡る状況が目に浮かびます。
グラディウス以外のIPはどうでしょうか?
がんばれゴエモンの方はEGG MUSICのCDボックス『さうんど玉手箱』が再販決定したことから手応えがあったことがうかがえますが、ツインビーには同様のCDボックス『コナミシューティングコレクション』が既にありますが、沙羅曼蛇など他のシューティングと合わせて収録されており、これだけではニーズを読みきれません。
コナミの声優ビジネスの礎となったツインビーPARADISEも、ファン層の拡大によって何が望まれているのか市場が見えにくく、どこに手を打つべきか苦慮していたに違いありません。LINEゲームも終了するのが早かったことですし。今回「Twin memories」に焦点を絞れたのも、『ときめきアイドル』だからこそといえるでしょう。
ツインビーのIP単体でリバイバルするにはリスクが大きいことをかんがえると、今回究極戦隊ダダンダーンという意外性を付け加えたことはなかなか効果があったのでは? と思います。
まとめると、グラディウスは続編が待望されているがバクチを打つのが難しく、ツインビーは続編に対する食い付きが悪くファンの潜在ニーズを生かしきれていないという現状があります。
そこで「Twin memories」と自虐マーケティングが同時展開できる『ときめきアイドル』が動き始めたのです。
ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、ツインビーというIPはゲームよりもドラマCDのツインビーPARADISEの方に話題性があるのだったら、最初からツインビーPARADISEを作ればいいじゃないか、ということです。
ところがこれには大きな問題があるのです。
ツインビーPARADISEは声優陣の年齢層が広くシナモン博士が田中和美さんだったり、塩沢兼人さん登場回があったりと、オリジナルメンバーが揃わない以上、ファンの望むものを作ることは困難です。
一方アイドルものは新人の若い声優メインで作れるので将来的なコントロールが比較的容易というのも、旧作リメイクを作らない一因として挙げられます。
「ツインビーPARADISEはサザエさんを目指している」といった趣旨の発言が文化放送ツインビーPARADISE3のラジオ内で、監督の井出安軌からあったことを記憶していますが、サザエさんと同様に声優陣の高齢化にともなう世代交代問題を抱えていたわけですね。
しかもサザエさんと違って、シリーズ展開中に主要声優陣を交代させられなかったのが痛いところです。ツインビーはシナモン博士、Dr.マードック、ワルモン博士、メローラ姫と年寄りが多いですからね(笑)
ドラマCDはメディアミックスの最初に展開されることも多く、つまり制作費が安く、それなりのリターンが期待できるものです。
ところがツインビーPARADISEはそのジャンルの黎明期の作品*1ゆえ、ベテラン声優陣で固めたため費用もそれなりにかかっていることと思います。
ツインビーPARADISEは安易なものも作りにくい、扱いの難しい商品になってしまったのです。
究極戦隊ダダンダーンに関しては、元が単発タイトルかつマイナーゲームなので、IP単体でのリバイバルはどうしようもない状況です。
ですが、このタイミングでやっておかなければならないただひとつの理由は、オリジナル歌手の子門真人さんがご存命であるということです。
『ときめきアイドル』とのコラボで、世代交代できる可能性が残されているのです。
つまり、ももいろクローバーZと水木一郎アニキの関係を、『ときめきアイドル』と子門真人でやりたいというのが、ローンチにダダンダーンが入った理由のひとつなのではないでしょうか?
※9/23・24の東京ゲームショウ2017で無料配布される『ときめきアイドル』のCDの曲が、昨日全曲YouTubeにアップされました。公式サイトにまとまっていますのでぜひ。
www.konami.com
*1:文化放送には魔神英雄伝ワタルやガイア・ギアなどのドラマ番組が既にあったわけですが、ツインビーPARADISEはおばけ番組と言われました。